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2013/04/21

2013年度のはじまりによせて

アーティスト・イン・児童館2013…

2008年から始まったこの活動も6年目に突入です。NPO法人になって2年度目。ここから気持ちを新たにスタートしていく所存です。

これまで、児童館にアーティストを招待し、彼らの活動のマネージメントをすることを仕事とし、そのプロジェクトをもって事業成果としてきました。「こんなコンセプトで、こんな作品が生まれましたよ」と。しかしそれはアーティストのコンセプト/作品であり、ぼくらの仕事の成果ではありません。

ぼくらの仕事は本来、アーティストのような存在が児童館に必要であると訴え、それに共感してもらい、よりよい活動のための施策・組織・予算をつくり、協力を呼びかけ、実施し、評価し、次につなげていくことです。そうして、子どもたちを面白い大人にしていくことです。


今年度は、そうした仕事をこなすために、今一度立ち止まり、振り返る必要があると考えています。そもそも児童館という場所はどのような歴史的背景を持ち、どんな現状にある場所なのか、とか、たくさんある「子どもの居場所づくり」にはどんな事例があるのか、そもそもそれって一体なんなのか、とか、知らないことやぼんやりしている部分がたくさんあります。また、そこにアート/創造的なスキルをインストールすることの意味はなんなのか、「子どもの創造力を養う」といえば聞こえはいいけれど、それっていったい何なのか。

なぜ、なにを、どうやって、どうしたいのか。

これまでは、児童館という空間のなかで子どもたちとアーティストが出会い、面白い!と興奮するような言葉、形、振る舞いが生まれてゆく。ただただその瞬間だけを求めていたように思います…興奮の一瞬にたどりつくまで、ぐるっと回り道をしてみようと、そういうわけです。

なので、今年は、これまでのようなアーティストを招待する事業を封印し、リサーチに徹します。地域における子どもの居場所としてあるべき空間のイメージをあぶりだしていきたいなと。

もちろん大きな野望を語る以前に、恥ずかしながら書類仕事やミーティングの設定などマネジメントの基礎の基礎ができていないので、そのへんの基礎体力作りも兼ねています。(むしろこっちがメイン)。


教育であれ、「居場所」であれ、遊びであれ、現代の子どもたちはあらゆる場面で大人の意図に左右されながら生きているように、ぼくは感じています。大人は未来の社会に向けて子どもを教育していきます。しかし、未来が大人の想像どおりになるかどうかなんて誰もわかりません。予測不可能な事態、絶対安全だと言われているものの崩壊…

今を生きる子どもたちには、大人が便宜的に想定した社会を盲目的に目指すのではなく、枠組みをかいくぐり、面白いと思う方へ、未知なる方へと逸脱する「術」を身につけておいてほしいと思っています。その「術」は、まさにぼくも学びたいと思っているところ。試行錯誤の中でそれが何かを探っていく段階として、今年度を位置づけていきたいと、そういう所存です。

がんばります、ほんとにまじで。