今日は快快DAYで、こーじさんの「中村小劇場」。中村児童館で出演する予定の子どもたち+αと、ゼロから演劇をつくる。こーじさんはあんどーなつのインタビューを読んで、彼らがどこまでできるのかを知りたいということと、快快が指示を出すんじゃなくて彼らが考えたアイデアを作りこんでいく方法を試してみたいということで、こんな企画に。すごく良かったし希望がみえた。
「演劇をやろう!」っていう呼びかけと、なんだかんだで考えてたのが死に方だったりして、なんだか『りんご』と重なるところがたくさんあった。館内放送で「これから、中村小劇場はじまります。やりたい人は工作室へ〜」って言って、わーっと工作室に集まってくる。途中からよしくんとけんじろうも来て、悪役がまとまっていく。しょうえい、さえ、ちっひーにまいまい、そしてひなたは確実にやるき。そこにいたタクミとユウは一年生で、なんだかもちもちしてたけど本当に最後までやるんだろか、と思っていたけど、やりきったし王子役の死に方は見事だったなー。タクミはどこでやる気になったのかわからないけど、怖い話を読んであげたりして、「うっすん読むのうまいね」って言ってきたり、すごく頭のよさそうな顔してて「よーじ」のモデルになった子はこんな感じなのかなぁとか想像する。「よーじ」はもうちょっとやんちゃかなぁ。そういえば、100%夏休みが終わって児童館に行って、なんとなくキャッチボールしてたのがあの子だったな。
子ども一人ひとりのやり方とかモチベーションとかあって、しょうえいなんかはとにかく戦いたいというか自分の強さ誇示したがるし、けんじろうはどんどん変なことやってくるし、ちっひー、まいまい、さえにいたっては、私たちはY時に出る!っていう自覚だけははっきりしてるくせにいざ芝居してっていうともっちもちでもう立ってらんないくらい照れる。ひなたには強い誇りと自信があって、演技らしい演技をやはり確実にこなしていく。よしくんは安定のパフォーマンス力で、気の利いたセリフをアドリブで言ったりする。タクミは甘えん坊だけど、文美さんと舞台装置をぬりぬりし、しかも剣をもって唐突に舞台に立ち、そのままなぜか王子役になって最後までやってのけた。
15時から説明とアイデア出し。
「はい、やりたいこと言ってくださーい」
「はい!殺し合いがやりたい!」
「はい!森があって、お城があってそのなかに・・・」
「さえはなんかやりたいことないの?」
「えー、妖精、妖精」
「えー、カイトがピストルやりたいってー!」
「そ、そんな事言ってねぇよ!もうやらねぇよ!」
「そういう話なら、姫がいるでしょ」
「宝がいるんじゃない?」
とかいって思い思いのことをいい、次にグループ分けをして、泥棒チーム、姫チーム、妖精チームにわかれて小道具をつくる。剣、王冠、羽。んでこれをつくってるときにオルガとブランカが現れて、みんなヨーロッパ人の赤ちゃん初めて見た!かわゆー!ってなって、とにかく小道具をバタバタと作る。それをつくったら、今度は稽古。
「はい、じゃあみんなは妖精だから、宝守って。なんか言って。」って言ってこーじさんの丸投げすごい。妖精たちはパタパタしながらてれってれで「恥ずかしい!どうしていいかわかんない!」とか言う。はいはいってなって、「はい、じゃあここで泥棒出てきて」っていったら男子たちが調子にのって出てくるが、とにかく罵声を飛ばして自分で笑ったりとかして全然進まない。照れるわやりすぎるわ途中から入ってくるわでバッタバタ。お前らもっと後ろに下がれよ!とか、この線からそっちに出てくるな!とか、距離が近いよ!とかこーじさんがいろいろ指示を出すけど、お客さんだったら「別にお前が面白いのであってこっちは面白くねーよ」的な気分に簡単になっちゃう感じの雰囲気。そうこうしてるうちにもうすぐ五時になってしまって、学童クラブの子たちは帰らなきゃいけない!となると、早く本番をしなければ。
というわけで暗転して、スポットライトで照らして、劇が始まる。
出来上がったのは、
「一人の王さまがお城に暮らしていて、宝物を守る妖精がいて、そこに泥棒が現われ、宝物が奪われてしまう。
剣士と一緒に王様が森の中にいくと、泥棒たちが酒盛りをしていて、お宝を帰して欲しければおまえらの城にいる2人の姫を連れてこいという。
翌朝、王様と剣士が姫を連れて森へいくと、泥棒が泥酔して寝ていて、目が覚めたら喧嘩を売られる。
姫をよこせばお宝をやってもいいが、その前に剣士と対決させろ!と言われ、剣士と泥棒のボスが戦う。
ボスも子分も何とか倒すんだけど、闘いで傷ついた剣士も死んでしまう。
姫たちが実は剣士の事好きだったのに、って言って泣く。
そしたら妖精たちが剣士を生き返らせて、かわいそうだからっていって泥棒たちも生き返らせる。
助けてくれたのはあなたたちですか?とかいって泥棒は王様に仕えることになる。
おしまい」
みたいな話。
なんか思ったのは、稽古のとき、他の子がやってるのをみてあーだこーだと口出しする子がたくさんいることや、なぜか客席に座ってたのに悪役のことを殴り始める子とか、けんじろうはなぜかダンボールの鎧?を着てたのでみんな殴りやすかったんだろーな、とにかく口や手がでる。もっとこうやってセリフ言うんだよ!みたいに上から目線でやじを飛ばす。「おい、そんな事言うならおまえあとで見せてみろよ!」とこーじさんがショウエイに言うんだけど、ショウエイはやってやんよ、みたいな感じでこれまた喧嘩腰。でも実際舞台に経つとまたぜんぜん違うダメな所が出てくるんだけど。とにかく、演じてる子に対して、じれったいのか歯がゆいのかなんだかわからないけど、自分のことを憑依させてしまうらしい。身を乗り出してやじを飛ばしてたもんなぁ。人がやってるのを観る、次に自分でもやる。その繰り返しなんだと思う。
彼らは今日、シナリオ、小道具や衣装、舞台装置、そして稽古をたったの2時間でやり、最後にはお客さんも入れてスポットライトを浴びながら演じきった。演劇のプロセスを2時間に濃縮したものを経験した。この積み重ねなんだろ~なーきっと。今は未だ、シナリオに関して言えばなんか見たこと在るような話を真似してつくっただけだけど、そのうち《Y時のはなし》がこうやって子どもたちとふれあう中で生まれた物語なのだということを、実感したり想像したりしてもらえたらいいなぁと思う。とにかく、あとに2回ぐらいは中村小劇場で稽古かな?2回やったらかなりレベル上がりそう。
お客さんとして発表を観る子もいるし、職員も観る。みんなやりたくなってしまうかもしれない。そうやって演劇をつくるという空気が館内に充満すると、表現すること、演劇することに抵抗がなくなってよりクオリティの高い表現をしたいとみんな思い始めるはず。小さい劇場のハコができたことで、児童館のコミュニケーションの連鎖に、小さな変革が起きた気がする。変革の積み重ねで、演劇をつくる空気に変質していくはず。
けんじろうに「今日の反省点は?」と聞いたら、「えーと、剣士と戦うところの場面が長すぎる。もっと死に方を工夫しなきゃ」とかいってまともなことを言う。よしくんしょううえいはなんて言ってたかなぁ。快快リーダーよんちゃんは、「まだまだ全然だめ!」とおもいっきり駄目出し。「どうしたらうまくできますかー!」ってけんじろうふざけて聞いてたけどまんざらではない様子。演技って恥ずかしいけど、普通に自分もやるってなったら恥ずかしいけど、どうやったら恥ずかしくなくなるんだろう。毎回反省会したらおもしろそうだな。あーなるほどね、リフレクションなんだね自分がやることも、他の子がやることも、あるいは大人がやることも。
絹代さんがなかよし児童館で「ウルトラバトル」を、こーじさんが中村で「中村小劇場」を、そしてゆいさんが東大泉で小道具作りをはじめる。東大泉もなんかそういう設定作ってあげれるといいな。各地で起きてる小さいイベントが12月1日2日でつながっていく。サードプレイスのプロデュース、にふさわしい感じになってきた。楽しみだなぁ。