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2013/10/31

児童館で企画をつくる 《放課後アートプラン》

今週は《放課後アートプラン》のミーティングウィークであった。石神井児童館、中村児童館、光が丘なかよし児童館を日々訪問し、子どもたちから集まったアイデアシートと、各児童館の意向を掛け合わせたプランの方向性を協議する。

香川に行って「芸術士」の活動を観て一番強く感じたことが、子どもが自分(たち)で何かを作りたくなって、それができる環境の必要性だ。何か刺激を受けて、自分の気持ちが動いて、何かをやりたい!と思わせる/誘発させる要素があること。あと、実際それに挑戦できる環境になっていること。

あるテーマに則して、子どもたちがつくりたいものを作れる環境に、少しずつ変えていく。参照できる資料や自由に使える素材などリソースがあって、子どもたちが自分で何かをつくって共有する、という活動が日常になる。その活動の文脈に合わせ、同じようなリソースで、次元の違う作品をつくるアーティストを招聘し、作品をつくる様を見せたり、共同制作をしたりする。そうなったら理想だなぁと。

このベースとなる環境の設計がポイントだ。例えば、子どもたちが自由にマンガやイラストを描いて本したりデータにしたりできて、さらにはネットでの発表や展示もできる。

児童館には「子どもが自分たちでモノや企画をつくる」という要素が足りない。工作教室からクッキングまで、大人が用意したものを言われたとおりに組み立てる、というパターンが多い。児童館の工作室が、何らかのかたちで自由な活動を解放する空間になることで、創造性は伸びていくはずだ。

工作室を整備して、日常の創作活動を温めること。これはアージのコーディネートの第一歩になる。これから各館のテーマに即して工作室の整備をすすめるのと、作家を選ぶのが始まっていく。楽しい時間が動く。




2013/10/27

香川へ その1

10月25日(金)から3泊4日で香川県へ。「芸術士派遣事業」のリサーチを中心に、瀬戸内国際芸術祭、そして丸亀市猪熊弦一郎現代美術館と回っている。

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まず初日は「芸術士とこどもたち」展。保育所・幼稚園・こども園にアーティストを派遣し、子どもたちの創作活動を創出する事業の報告展を見て、事務局の太田さん、市役所の担当の山下さんへのヒアリング。


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2日目は瀬戸内国際芸術祭の小豆島・坂手港エリアへ。graf、dot architects、UMA design farmといったクリエイターたちが拠点を構え住民たちとゆるやかに協働しながら、豊かな小豆島の生活や食文化が考現学的アプローチから来島者へ紹介していく。劇団「ままごと」のお散歩演劇『赤い灯台』では、港町を巡りながら一つの物語を経験する。

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3日目の今日は丸亀市へ移動。丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の「大竹伸朗 ニューニュー」展へ。来年夏からの「拡張するファッション」展の巡回先であるこの場所を、担当キュレーターの古野華奈子さんに案内していただく。

とってもとっても刺激的で、本当に幸せなリサーチ期間だった。

ぼくは去年の10月にNPOを立ち上げて1年、これからどう経営を成り立たせていくか、本気で動かなければならない時期に来ている。そして、NPOの限られた収入方法の中で、どうやって経営していくか、暗中模索しているところ。というか、児童館という公共施設に介入するという事業のあり方は、極めて難しいということがよくよくわかってきたところ。そして、そのための実力やセンスが自分にはほとんど無いのだということも。

将来への不安が募るなかで、何をどこから手をつけていいやら…と思い悩みながらのこのリサーチ。明確な解決策が見つかったわけではない。わかったことは、希望をもって、この困難を楽しみながら、しぶとく、ひたむきに続けていくことでしかない、ということ。

この「楽しむ」ということが、本当にむずかしい。そして「楽しむ」ためには、その方法を学ばなければならない。真面目な話でつまんないかもしれないけど、人間は何かの楽しみ方を、少しずつ学習しているのだと思う。

「芸術士」の活動は、子どもたちが「表現すること・つくることの楽しみ方」を学ぶための環境・世界観を創出する仕事だと思った。そして事務局の太田さんは、この活動を広げるために、策と希望と何よりも楽しさをもって挑んでいる。

そして、「ニューニュー展」を通して見る大竹伸朗さんの姿は、執念をもって、驚くべきものをつくるために何十年も実践しているものだった。何より、つくることを楽しむことと、見るものを楽しませることが一体になった制作の姿勢を感じた。

まずはこの感動を記す。