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2016/04/26

音に触れる、音をかたどる ーMother Terecoスタジオにて

今日は音楽ユニット「Mother Tereco」のスタジオに遊びに、本厚木に行ってきた。Mother Terecoは先日の絹代さんの舞台『GIFTED』でも音楽を担当していた電子音楽のユニットで、メンバーの難波くん、佐藤くんの2人はFORM ON WORDSが水戸でショーをやったときからお世話になっている尊敬するクリエイターであり、友人である。


車で颯爽とあらわれた2人は、天気がいいからってことで厚木の面白スポット「宮ヶ瀬ダム」に連れて行ってくれた。スパイ映画のロケーションで使われそうなインダストリアルな感じと、のどかな風景とがあいまって最高だったので、ダムを上からも下からも見た。


スタジオでは、Mother Terecoのシンボル的存在でもある「モジュラーシンセサイザー」の仕組みを見せてもらった。シンセサイザーって、キーボードにいろんなツマミがついてるやつ、ぐらいの認識しかなかったのだけど、そうじゃないだね。音の波形を変えることで、音を形作ることができて、それでメロディも作れるし、波形の変化だけで展開をつくることもできたりする。ぼくが野暮な説明をするよりわかりやすいサイトがあったのでこれ見てみてください。

最近ぼくが「触感」をテーマにしたワークショップを作っているっていうのもあって、音の波形を操作することで「プチプチ」とか「ふわーん」とか「ジュルジュル」とか、柔らかさや硬さ、液体感や鋭利な感じなど、いろんな音の質感をつくることができる、というのは単純だけど驚きがあった。電子音でメロディやビートをつくってシンセサイザーで音の質感を操作して…みたいなのが電子音楽だ、というのは簡素すぎる説明かもしれないけれど、Mother Terecoはここの波形の操作をより高解像度でいじっていて、手の巧緻性が音の質感の変化にダイレクトに影響するような音作りをしているし、そこにバイオリンなどの生楽器の音を組み込んでいて、音の幅を広げた演奏をしている。藤田陽介さんや、マイカ・ルブテさんとコラボレーションをしたりとか、活躍も目覚ましい。


電子音楽の歴史の話も面白かったし、そこから派生したアフリカンデスメタルとかKonono no.1とかの話も面白かったし、楽しかったのはもちろんなんだけど、何より「電子音を作ること」を自分でももう少しやってみたい、と思った。音楽は作れなくても、音を作って遊ぶことならなんかできそう!という感じを覚えた。まあ何かに影響されるとすぐそう思いがちなんだが、どう手を伸ばして、実際に触れられるものを身近に置いておくかなんだわな。なんか身近に手に入れられる道具ないかな。

難波くん行きつけの「酔笑苑」の炭火焼はどれも最高だったし、牛タン赤身刺しは最高のローフードだった。

ぼくは、音楽とファッションは苦手な分野だと思っていた、というのはどっかに書いたことがある気がする。映画とか小説は起きていることの順番をたどればその構成がわかるし、作り手の動機もなんとなく感じられるけど、音楽とかファッションは自分ではそれがわかんなくて、自分がわかんないっていうことが恥ずかしくて「なんかいけすかねえ!」みたいに思うことで自己保身してた。でも、縁があってこうしてクリエイターと関わってみて、自分もワークショップという手段で自分なりの動機を持って構成をしていく仕事を通して、作り手と歩み寄ることができて、はじめて音楽やファッションやその他の分野の面白さがわかってきた気がする。自分の家にミシンとシーケンサーが欲しい。

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