ページ

2014/11/11

速度をあげる仕草、突き上げるキック、ポンコツの選択 ― 服の記憶展 その2

2014年11月8日(土)・9日(日)、FORM ON WORDSの新作ファッションショー《ノーテーション》をアーツ前橋で開催した。


前橋に暮らす人々へのリサーチを積み重ね、生まれて初めて脚本のようなものを書き、なんとか展示を生み出してから1ヶ月。FAIFAIの野上絹代さんによる演出、Open Reel Ensembleの佐藤公俊さん・難波卓己さんによる音楽、Nakajimasによる映像がついてファッションショーが開催された。

参加者/モデルは本番の10分前に集まり、簡単な説明をうけたあと音声ガイドでリアルタイムに振り付けされていく。前橋に生きる5人の仕草を。繰り返される仕草は次第にその速度を上げ、最後はダンスになっていく。最終回は、絹代さんの誕生日プレゼントで渡した花束の花びらが舞った。



ハサミの音、ミシンの音、アイロンのスチームなどがその場で録音/再生され、次第に速度を上げ、最後はBPM120のキックが突き上げるようにランウェイを揺らす。壁面には、その場で撮影されている映像がプロジェクションされている。参加者のポーズ/仕草がスローパンで映しだされると、まるで生きる彫刻のようだった。



とにかくゲストの仕事のクオリティの高さにぼくらはただ驚くばかりで、今回も水戸芸術館の時と同じクルーだったけれど、かなりパワーアップしたことを実感した。

しかしFOWとしては反省点だらけだし、なによりこのショーを踏まえて今後どう展開するか、その選択が問われていることはみんな自負している。あとは、FOWがこのショーをどういう文脈に位置づけるかっていう戦略が欠けていた。この文脈にならコミットしたい!と強く思わせる何か、が足りなかった。それはFOW自身の問題でもあるし、これは「服の記憶」展という展覧会自体の課題でもあるように思う。

ぼくたちFOWは今、これまで断続的にしかやってこなかった「服を作って売る」ということを主軸に活動を編み直さなければならない時期に来ている。そこに今回のようなプレゼンテーションを、どのように編みこんでいくか。



今回のショーの制作も、きつかったけどとにかく笑いが耐えなくて、濱くんはドM扱いだし、竹内さんは寝てたり信じられない遅刻をかましたりしつつもみんなから愛されてるし、ぼくは気が回らないただのゆとりだし、まあとにかくポンコツ感のあるFOWメンバーを、スーパースキルフルなメンバーが支えてくれていました。

参加してくださったみなさん、絹代さん、佐藤さん、難波さん、中島くん、ユウさん、そしてのろさん、みちゅ、そしてアーツ前橋の学芸員のみなさん。当たり前すぎることですが、皆さんの力なくして、このショーの成功はありえませんでした。ありがとうございました。

これからはこのポンコツ感の良さを伸ばしつつ、同じ失敗は二度としないようにして、ゲラゲラ笑いながらつくっていきたいとそう思っています。