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2011/01/22

0_アーティスト・イン・児童館 とは


「アーティスト・イン・児童館」は私が20083月に構想を開始し、20089月から「アーティスト・イン・児童館 実行委員会」によって実施が始まったプログラムである。子供とアーティストが児童館という場で出会い関わり合っていく状況を創出するこのプログラムの狙いと仕掛けについて、私自身の活動の経歴とそこでの思考のプロセスを辿りながら、一部を解き明かしてみたい。(「一部」と敢えて付けているのは、私の以下の解説以外にも、このプログラムには意味があることを願っているからである。)
 本章では、まず、「児童館」という場所を選んだ理由を、私自身が子供の頃に感じていた違和感からワークショップの実践へ、ワークショップの実践からその引用へと変遷をたどりながら明らかにし、学校とは別の選択肢としての児童館の可能性を記述する。それを引き継ぎながら、「児童館」の仕組みを内側から変容させる関係性として、アーティストの存在の意味を描き出していく。
 次に、「現代美術」という分野を選んだ理由を、私自身が関わり影響を受けてきたアーティストのプロジェクトや文献を引用しながら解き明かしていきたい。「異質な風景に出会いたい」という私の個人的な欲望を実現する可能性をもつものとしての美術と、「よくわからないもの」の代表としての美術を、子供たちの生活の中に現していくことの狙いを記述する
 そして本書に第2部に描かれるような「記録」にこだわる理由を記述して、第1部を締めくくる。私たちにとって記録とは「想起の装置」であり、新たなイメージを創造するための素材である。そして、記録とは「時間」に形状を与えるものであり、時間の形状(=アーカイヴ)は誰がどのような時間を生きたのかを記し現す個人の公共化のためのツールである。創造力と公共性をめぐる私のイメージを描き出し、第2部「記録編」へと引き継いでゆく。



アーティスト・イン・児童館 プログラム概要

「アーティスト・イン・児童館」は、2008年度にアーティスト・イン・児童館実行委員会の発足と共にSFC教育奨励基金を元手に始まった研究プログラムであり、2009年度から東京都、東京文化発信プロジェクト室(東京都歴史文化財団)、アーティスト・イン・児童館実行委員会の3者の共催で、新しい文化政策の形態として実施されているプログラムである。



2008年度>
主催:アーティスト・イン・児童館 実行委員会
実施期間:2008年9月~20093
実施児童館:練馬区立東大泉児童館
招待作家:西尾美也
実施プロジェクト:「ことばのかたち工房」(西尾美也)
発行物:「ことばのかたち工房 記録集」
アーティスト・イン・児童館 実行委員会:臼井隆志、菊地みぎわ、高木文、百瀬雄太
協力:練馬区立東大泉児童館、練馬区立東大泉敬老館、もんじゃ屋わらべ、小島屋豆富店、ほか
奨学金として:SFC教育奨励基金、SFCシンポジウム・ネットワークミーティング基金

2009年度>
主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室、アーティスト・イン・児童館 実行委員会
実施期間:20096~20103
実施児童館:練馬区立東大泉児童館
招待作家:北澤潤、西尾美也
実施プロジェクト:「児童館の新住民史」(北澤潤)、「ことばのかたち工房」(西尾美也)
発行物:とくになし
アーティスト・イン・児童館 実行委員会:臼井隆志、池上ゆいこ、菊地みぎわ、高木文、山口麻里菜
協力:練馬区立東大泉児童館、練馬区立大泉南小学校、練馬区立大泉第二小学校、もんじゃ屋わらべ ほか
助成:練馬まちづくりセンター

2010年度>
主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室、アーティスト・イン・児童館 実行委員会
実施期間:20105月〜20113
実施児童館:練馬区立中村児童館、練馬区立東大泉児童館
招待作家:Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子)、西尾美也
実施プロジェクト:「レッツ・リサーチ・フォー・トゥモロー」(Nadegata Instant Party)、「ことばのかたち工房」(西尾美也)、「オープン・ミーティング2010
発行物:「ことばのかたち工房2008-2009制作記録集」(20105)「児童館の新住民史 手記を辿る」(20109)
アーティスト・イン・児童館 実行委員会:臼井隆志、菊地みぎわ、菊地玲、高梨千恵、辻真理子、時里充、山口麻里菜
協力:練馬区立中村児童館、練馬区立東大泉児童館ほか


                           


児童館には様々な想いをかかえたこどもたちが集まり、
ときに激しく、ときに大人しく、様々な遊びをくりひろげている。
テンションがあがったときには、命をむき出しにして遊んでいる。

アーティストの中には、街や施設の人とのコラボレーションを制作の
方法として活動している人たちがいる。彼らは、どこでも誰とでも
できることではなく、その場、その人、その時にしか生まれない
サイトスペシフィックな表現をつくりあげている。

そんなアーティストが児童館を製作の場としたとき、一体どんなことが
おこっていくのか。「うざい!!」「キモイ!!」「死ね!!」とわめきちらし、かと思えば甘え、次々に遊びを変えるアナーキーなこども社会に入り込み、
どんな作品がうまれてくるのか。

そんなこどもたちが、アーティストのような独自の対話方法をもつ「新種」の人間に対して、どのような答え方をするのか。「異物」をどのように向かえ入れ、共存していくのか。そうすることを通して、どんな希望をひらいていくのか。

アーティストが児童館に入り込むことによって生まれる、摩擦、希望、作品を読み解き、考える事。そうして児童館から発信される文化が地域社会とどのように関係していくかを考察すること。

それらを通して、アートの現場としての児童館の可能性をつくっていくことがこのプロジェクトの目的である。

これは私の、「既存の社会の意味をつくり替える」という創造行為でもある。

(2008/04/03 ノートより)


                           


アーティスト・イン・児童館とは

遊びの世界を社会とつなぐ

 「アーティスト・イン・児童館」とは、子どもたちの遊び場である児童館にアーティストを招待し、児童館をアーティストの創作・表現のための作業場として活用するプログラムです。
 「アーティスト」とは、モノを作ったり、パフォーマンスをしたりして言葉を超えたコミュニケーションを持とうとする人たちのことです。こうしたアーティストの創作・表現の活動と、子どもたちの遊びの活動は児童館の中に対等なものとして共存します。アーティストは、流動的な子どもたちの遊び・生活の現場に出会い、翻弄されるかも知れません。子どもたちは、日常的な行為さえも作品の素材として取り込んでいくアーティストの創作・表現へと巻き込まれるかも知れません。
 そのような掛け合いを経て作品が生み出され、発表されます。子どもたちの家族、近隣の住民、学校の先生、自治体の職員、キュレーター、評論家、アートファンの人びとが、児童館から生まれた作品に出会います。
 このようにして、子どもやアーティストが体験している世界を、遊び・創作・表現の活動及び作品を通じて社会へと接続しいくことがこのプログラムの目的です。

(2010/10/13 オープン・ミーティング20101 活動紹介用テキストより)










2011/01/19 Let's Research For Tomorrow

Let' Research For Tomorrow

この日は、先週の中崎さんからバトンタッチで山城さんが来館。


この日山城さんは静岡に行っていて、新幹線で帰ってきたばかり。お腹がすいた、ということでシャ・ノワールで珈琲とパスタを食べながら、来年実施のプロジェクトについてミーティングをしました。

ここではまだ何も明かしませんが、だいぶやりたい事のイメージが浮かび上がってきた感じです。まだ「これだー!」というような手応えはありませんが、これからこのアイデアが練り上げられていくプロセスを追っていくこと、その過程で「これだー!」の瞬間が訪れるはず。記録にも気合が入ります。

ミーティングを終えて児童館へ。この日はあんどーなつの45歳の誕生日をいわおう!(1966年1月21日生まれ)ということでケーキの材料を買っていきます。サプライズで「あんどーなつ」とメッセージチョコも。(年齢がいい加減に書かれています)

ホットケーキを作りながら、一人の女子の恋愛相談を聴きます。これがなんと「浮気」について。最近話題の「浮気」なのですが、ちえちゃんも山城さんもぼくも「彼氏いても他の人が気になることなんて全然変なコトじゃないでしょ」と浮気?を肯定。その子は「わぁ、うれしー!ここ毎週くる!」と言って喜んでいました。まぁでも浮気ってされるめっちゃイヤなんだけどね。



最後に生クリームをトッピングしてケーキが完成!ちえちゃんと中学生達が焼いたあんどーなつクッキーも添えます。そして遊戯室に全員を集め、ケーキにローソクをさして火を灯したところでパソコンで作業していたあんドーナツを呼び入れます。そしてお決まりの「ハッピーバースデートゥーユー♪」。



あんどーなつを喜ばせるというミッションの達成を共有したみんなは浮かれモード。体をぶつけ合ったりして、いつもとは違うはしゃぎ方をしていました。興奮の余韻はこんな感じ↓

<動画挿入予定>

そしてその後、山城さんと電車に乗り込んでいざ秋葉原は3331へ。この日は文化発信プロジェクト室の森さん坂本さんとのミーティングでもあったのです。電車の中と移動中にアジェンダを作成して、野田さん、山口、時里と合流してミーティングに臨みます。


このミーティングの結果、さらにプロジェクトのハードルが高くなりました。2012年実施予定の展覧会に向けて、「長い闘いになりそうですね」。

さて来週は久しぶりにNadegata Instant Partyメンバーが3人揃いますよ!
アイデアの仮発表をしてもらおうかな。ちょっと考え中です。お楽しみに!


2011/01/19

2011/01/13 トークイベントの機能

1月13日 玉川大学でのトークイベントに出演しました。



進行は「オープン・ミーティング2010」にも足を運んでくださっていたアーティストの東方悠平さん。今回のトークイベントは第2会の懇親会をきっかけに実現しました。



活動の経歴と、活動の目的についてひとしきり話をしたあと、「終わり」のデザインについて、アーティストへのアプローチ方法について、アートマネージメントのスタンスについての話をしました。たっぷり2時間話をし続ける形になったので、声をからしてしまいました。

この日最も油断していたのが、芸術学部でのイベントということで「アートは絵画・彫刻だけじゃなくて…」という話をするのをすっぽ抜かしてしまったことでした。「ふつうに知ってるっしょ」みたいな、美術業界の仲間意識のようなものを内在化してしまっている事に気づき、ブルッとしました。

前提を確認しておくこと、自分がどの文脈の上に立っているのかということは、多少回りくどくても丁寧に説明すると、話が一気にわかりやすくなります。次回があれば、もう少しスライド作ったりして内容を整理しようかなと。多分確認しなければならないのは、「ワークショップ」、「アートプロジェクト」、「コンセプチュアル・アート」の3つの用語でした。さらに俯瞰して話したら面白いのは「学校教育」「社会教育」「現代美術」の構造分析について。このへんはもう少しフィールドワークと文献を読み進めながら考えてみたいところです。現代美術業界の構造分析してる人、だれかいないのかなぁ?

トークイベントの機能について

もう1つ考えたことは、「トークイベント」という場自体の機能です。ぼくは大きく分けて<紹介> <予告> <ふりかえり>の3つの機能があると考えてます。

<紹介> 対象者(今回で言えば主に玉川大学の学生)の知識を増やすことを目的に、事例とその背景にある考え方を紹介する機能。

<予告> ゲストの活動歴や考え方を紹介し、後にゲストとともに実施予定の企画への期待感を高める機能。そのトークイベントをきっかけに企画への参加を呼びかけ促す機能。

<ふりかえり> 実施した企画が何を生み出したかを公開で検証しつつ、それにどんな意味があったのかを参加した人びとが見出す機能。<紹介>と同時に、次のプロジェクトが予定されている場合は<予告>の機能も併せ持つ。

このへんの機能を使い分けると、参加者のモチベーションに合わせてゲストも話ができるし、観客とゲストのテンションが一致すると、多少低くても充実したイベントになるはず。このあたりはホストの技術が問われます。

どんな企画でもそうですが、思考のプロセスをどこで誰とどんなふうに共有するかがとても重要です。新しい出来事をつくっていく、という体質のネットワークがほしいといつも思っているので、いろんな人に開かれていることと、今後への連鎖を内包したトークイベントのつくり方を考えていきたいなと思いました。

2011/01/16

2011/01/12 Let's Research For Tomorrow

この日はレッツ・リサーチ・フォー・トゥモロー。Nadegata Instant Partyの中崎透さんが、初めて一人でリサーチ。

ふうが、うら、のぶの中学生三人組と、中崎さん、職員のきょうちゃん、臼井の3人でひとしきりサッカーをしてへろへろになったのち、臼井は果敢にもたくむに総合格闘技関節技戦を挑む。あっさりと2連敗して、だらだらと休憩。(たくむはめちゃくちゃフィジカルが強くて、アームロックもヒールホールドもちっとも決まらなかった。腕を取られて終わり。)



その後、ひろしやたくや、ふうが、大竹ちゃんたちと児童館の人間関係を色々と教えてもらう。

リサーチ終了後は、ハウスマッカリで新年会第二弾。鍋を囲んで、あんどーなつとちえちゃんも来てくれました。

ここでなんと、中崎さんから来年度実施プロジェクトのアイデアを発表。今はまだ秘密ですが、キーワードは“automatic”と“5000”です。

さて、中崎さんはこの日の様子をこんなふうに振り返っていますよ。↓↓



レッツ・リサーチ・フォー・トゥモロー!!