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2012/06/26

glitchGROUND/子どもあそびばミーティング(2)


山口情報芸術センターYCAMにて開催中の教育普及展「glitchGROUND」。公園型インスタレーション「コロガル公園」の使い方を考える「子どもあそびばミーティング」のプロジェクトのファシリテーターを担当しています。そのレポート2回目。

子どもあそびばミーティング
ー 想像力とD.I.Y、大人と子どもの契約の場

コロガル公園で遊ぶ子どもたちが、自身の遊び場の環境を考えるためのミーティングを開き、コロガル公園内の新たな機能を提案します。ファシリテーター(司会進行)は、地域の児童館にアーティストを招聘し、子どもとアーティストとの出会いの場を生み出すプログラム「アーティスト・イン・児童館」の代表・臼井隆志さんです。
(glitchGROUND展特設サイトより)

子どもたちが公園の新しい使い方を考え、それをYCAMのテクニカルチームが実現していく。夢のようなアイデアも、YCAMのテクノロジーによって実現してしまうかも知れない。みんなの「夢」がつまった公園の実現、というわけだ。

とはいえ、どんな夢も叶うわけではなく、実現できるアイデアにも限りがある。子どもたちの限りなく自由でいい加減な発想を引き出し、それをテクニカルチームのみなさんが実現できるレベルに落としこんでいく、その間を調整するのがぼくの仕事である。



― 環境・ハードウェアを変化させる



スピーカーやマイク、振動子、LED照明などが備え付けられているだけですごいと思うのだが、実はこの公園のポテンシャルはそんなもんではなく、本気を出せばプロジェクションマッピングやレーザータグ、モーションセンサーなども導入できてしまう、とのこと。部屋を暗くしてプロジェクションマッピングによる「遊具」をつくりだしたり、モーションセンサーを装備したボールを使った遊びなども考えられる。

鬼ごっこやかくれんぼなどによって公園のソフトウェアをつくりだすことはこれまでにも経験してきたかも知れないが、公園のハードウェア自体を変化させる、というのは一体どういうことなのか、ぼくもまだわかりきっていないのだけど、ということは、子どもの想像の範囲を超えたことであることもたしか。やったことのない新しい経験がこのミーティングでは待っている。


― 子どもたちからアイデアを引き出す 想像、提出、契約

公園の「環境」自体を変化させる、というやったことのないことを、子どもたちと一緒にすすめるにはどうしたらいいのか。既存の公園やテーマパーク、ゲームセンターなどのアイデアを参照した意見が生まれることは想像に難くない。面白い技術が導入されているからといって、アミューズメント化させてしまうのではなく、あくまでこの公園は、新しいメディアの使い方を編み出す、D.I.Y精神にあふれた場所であってほしい。というか、そうでなければ、この公園のユーザーである子どもたちはつくられた環境を消費するだけになってしまう。つくることによる学びを生起するためには、それじゃいかん。

とかグネグネと考えながら、6月8日(日)の14時に、「子どもあそびばミーティング」の初回がスタートした。以下はその内容の紹介。

  ①イマジネーションとアイデア ― 「暗号」から連想・拡散する


まずはじめにやってもらったのは、連想ゲームのようなもの。コロガル公園にはいくつか
のアーカイヴがあって、その中に「こんな公園があったらいいな」というアイデアシートのアーカイヴがある。「すべり台がほしい」「坂道にロープをつける」「地下に穴がある」など、公園の環境自体を新しくつくりかえる多種多様な妄想が描かれ、記録されている。



今回は、その中から"解読不能"なアイデア(?)が描かれたものを選別し、ミーティングに参加した子たちにそこから具体的なアイデアを連想してもらった。例えば、2〜4歳ぐらいの子が描いたであろう色とりどりの描きなぐりを、「スイッチを踏むと、光のもじゃもじゃが追いかけてくる仕掛け」というように解読する。アイデアのソースを、子どもたちの経験から、アイデアシートに変えることで、よくわからないけど新しいアイデアを引き出すことを狙った。それらのアイデアをスタッフが模造紙に書き込んでいく。


  ②コロガル公園の隠れ機能の紹介


次に、コロガル公園に埋め込まれたそれぞれの「シーン」の説明と、真っ暗にしてプロジェクターで映像を投影できることなど、「こんなことができます」という機能の紹介。途中からあきちゃったし、なにしろ魅惑の坂道だらけなので、子どもたちは静かに話を聞くなんて無理。走らずにはいられない。この機能紹介は最初の緊張してるときにやっても良かったかなー、と反省。

  ③アイデアからプランへ ーまとめ、発表


最終的にグループを3つにわけて、①で出したアイデアをもとにプランをまとめて発表してもらった。子どものプランに対して、YCAMのテクニカルチームにもどうすれば実現できるか、を質問していく。「いや、それは無理だよ?」と子どものプランを拒否する場面もあって、笑えた。最終的には「自分の姿が見えるおばけ屋敷」「ワニが出てくる足湯」「バンジージャンプの映像を投影した飛び降り台」「一箇所からしか読めない文字」など、具体的?で変なアイデアがいっぱい出てきた。子どもたちとのミーティングはここで終了。


  ④実装にむけて ー大人の時間



ここから、子どもたちのアイデアをどうやって実現するか、テクニカルチームとエデュケーターチームのミーティングが始まる。子どもたちが考えたプランを、技術的・時間的に実現できそうな内容に改変していく。


と、こんな感じ。実際に採用されたプランを知らないし、どうなったんだろう。次回に訪れるのが楽しみです。

いろいろ考えたけど、たぶん、「ファシリテーター」がいなくてもこのミーティングでやろうとしていることが実現できるのが一番いいんだと思う。環境が子どもたちから意見というか意志を可視化し、それを誰かがアイデアにまとめ、実際に作業をする大人に提出し、コンセンサスをとって実装していく。環境が、意志、アイデア、提出、契約、実装をアフォードしていけるのであれば、子どもを中心に、同心円状の組織ができあがり、新しい形の自治が見えてくる気がする。

とにかく、次回に訪れるのが楽しみです。

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YCAM教育普及展「glitchGROUND」5月19日〜8月12日
10:00~19:00
入場無料 火曜日休館
山口情報芸術センターYCAM

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子どもあそびばミーティング第2回
7月8日(日)14時〜15時30分




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