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2015/04/21

ワンピースづくり、きかない見通し、ふりしぼる勇気

伊勢丹で働きながら、ちょこちょこ他の仕事もやっていきたい!ということで2015年度第1弾は、中山晴奈さんがディレクターを務める食とものづくりスタジオ「FERMENT」にて、ワンピースをつくるワークショップでした。FORM ON WORDSで一緒の竹内大悟さんとつくったものです。

これは見本です。


ほぼ一日がかりで、生地を選び、竹内さんがつくったパターンに添って裁断し、縫製する。そのなかで、幅や丈、アクセントになっている切り返しのギャザーもしくはタックのかたち、襟の仕上げ方など、いくつかの選択肢の中から、自分に合ったシルエットのワンピースをつくっていく。

参加者の皆さんの中には、中学校のときの家庭科の課題でズボンやエプロンをつくったときにうまくいかなかった想い出が残っている方も多く、そのトラウマと向き合いながら制作を進めていっていました。ぼくは昨年の夏のワークショップでやっとミシンと仲良くなれて、今ではだいぶ仲良しです。

いつも子ども向けにやっている企画だと「失敗してもいい」「トライアンドエラーが大事」ということを考えているけれど、服作りとなるとそうはいかないところが面白い。雑になってしまったぶん、その文字通りのしわ寄せが、服の雰囲気全体にあらわれてしまう。真剣で丁寧な作業が細部に宿ることで、はじめて服に美しさが現れるのだということを、いつも思い知ります。



真剣にならざるをえない、自分が身にまとうための服。当たり前だけど、服はたいてい買ったものを着る。デザイナーがデザインし、パタンナーがパターンを引き、工場で縫製されたものを着る。それを着る人の姿が不格好にならないように、こだわりをもって作られたものを着ているのだと思います。

その服のはじまりをつくるデザイナーは、人々の服や身体への意識を敏感に察知して、着崩されてしまうことや、およそモデル体型とは異なる体型の人が着ることも含めて、それでも人がかわいさや楽しさやエレガンスを感じられるように、服をつくる。そのこだわりや誠意にあやかってぼくたちは服を着ている。

もちろんそうでない服の作られ方もたくさんあって、かわいい、素敵なモデルへの憧れをあらゆる方法で煽り、それと同質化させるほうに促す、ファッションのファシリテーションのあり方のほうがむしろ主流だと思います。それによって「モテ」「非モテ」の分類が生まれ、自分を「非モテ」に分類してしまう特に男子たちの気持ちとかよくわかるし、その劣情はまた新しいエネルギーになると信じてなんかしたいと思っています。がまぁその話はまた別のところで。



このワークショップでは、服の作り手になって、その立場を体験する。服を着る人の気持と、作る人の気持ち、今の社会では分離してしまったこの2つの気持ちを一時に経験することになる。プロがつくった服はゆがんでいるわけがないのだけど、服はやわらかい布でできているし、裁断のやりかたや縫い方次第でゆがんでしまうし、不格好になってしまう。繊細な布は失敗するたびにくずれていく。失敗はなるべくならしないほうがいい。

さらに言えば、初心者には、パターンからできあがりを想像することが難しい。ぬいしろ、できあがり線、ステッチの線など、いろんな線が重なっている。裁断は縫製を見越してやらなければならないし、縫製はできあがりを見越してやらなければならない。小さな1つの失敗がつぎのゆがみを生む。見通しの効かないまったくはじめてのことで、それでも自分が着るものがかわいくて素敵なものであったらいいなという希望をもって、ひとつひとつ丁寧にやっていくしかない。

失敗が怖くなってしまい、怖気づいてしまうところをどうにか乗り越えてつくっていく参加者の方々の勇気を振り絞る姿を応援するのがぼくの仕事で、完成したときの、ほっとして、嬉しそうな表情には、しびれるような感動がありました。



こちらのワークショップは来月も再来月も開催を予定しております。夏に向けてえいやっと制作されてみてはいかがでしょうか〜?





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