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2011/10/06

手仕事のプログラミング

「プログラムを組むのが大変なんだ。コンピューターは人間の感情のぶれまでは計算してくれないからね、まあ手仕事だよ。しかし苦労して組んだプログラムが思いどおりにはこんでくれれば、これに勝る喜びはない」(『羊をめぐる冒険(下)』村上春樹・著、講談社)

『羊をめぐる冒険』に登場する黒服の男のセリフ。黒服の男は、主人公をあるゲーム的な状況へと否応なく巻き込んでいく仕掛け人であるが、「アーティスト・イン・児童館 プログラム・ディレクター」という肩書きで活動をしているぼくとしては、今になってこの登場人物にちょっとしたあこがれを抱く。

活動は手仕事のプログラミングだ。構造をつくり、変数を設定し、「時間」を構成してゆく。その作業を、足を運び、会話をし、素材と環境を整え、作業内容を共有したり指示したりしながら、実行していく。

手仕事のプログラミングに必要なのは、ありったけの想像力と、それを働かせる体力だ。その作業を怠るとえらいことになるということを今まざまざと体験しているわけだ。「想定外」に慌てているようじゃ、あまりに未熟だ。「想定外」さえ想定しなければ。

プログラムを組むのが大変なんだ。


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